金
10
2月
2012
今回は、(仮称)デュークガーデン溝の口(以下DGM)の機械式立体駐車場が、「工作物」とされた経緯について考えてみます。
紛争の概要にも書きましたが、工作物とされた一番の理由は「高さ」です。
立体駐車場の取り扱いについては、川崎市建築基準法関係取扱基準集 に次のように記載されています。
1-4 機械式駐車場の取扱いについて
標記について、次の各号のいずれかに該当するものを建築物として取扱うこととする
(1) 屋根及び柱若しくは壁を有するもの
(2) 他の建築物と一体(建築物の屋根、ベランダ、バルコニー等の下部に設置されるものを含む。)であるもの
(3) 高さ8メートル(設置面から装置上端部までとする。)を超えるもの
川崎市の建築情報課では、DGMの駐車場は上記各号のいずれにも該当しないので、「工作物」との判断をくだしたとのこと。
実質3回の説明会と、配布された図面から機械式駐車場の構造を推測するしかできませんが、それでも3つの疑問点が出てきました。
一つ目は、そもそもの機械式立体駐車場の定義がされていない事。
二つ目は、立体駐車場の定義がなされてない中、8mとは何をさすのかという事。
三つ目は、屋根および柱もしくは壁とはどのようなものか?
これに対し、川崎市は以下のように回答しています。
・機械式立体駐車場とは機械部分のことをいう。
・従って8mとは機械本体の高さのことをいう
・屋根としての機能をもつもの、同じく柱、壁の機能を持つもの。
この回答を聞いて、ますます行政に対する不信感が増大する事になりました。なぜなら、上記回答は三つ目を除きいずれも条文として明記されたものに基づいたものではありません。いわゆる「法令の運用の幅」と言われる部分だからです。
ルールを決める場合、「例外が出た場合は話し合って決めましょう」というのが一般的ですよね。契約書を結ぶ場合も同じで、記載されていないことが発生した場合は、互いに協議の上決定しましょうというのが一般的です。同じように法令でも条文の規定外のことが発生した場合は、ある程度は行政の裁量で決める事ができるのです。ということは、何をもって機械式立体駐車場というかは、個々の状況に合わせて決める事が可能なはずです。
DGMの機械式立体駐車場は、機械本体だけでは成立しません。6mの高さの土台、周囲を囲むコンクリートの壁および通路は、機械本体部分とは不可分の存在なのです。しかも隣の住居に一日中日影を作る事になる建物でもあります。
そんな存在の駐車場を、機械部分とコンクリートの土台・壁を含めると、8mをはるかに超える高さ12mの「建築物」とする事に、何の障害があるのでしょうか。市民の健康で文化的な生活を守る事になる判断には、誰も非難など出来ないはずです。それにも関わらず業者よりともいえる行政の判断に、私たちは本当に強い怒りと失望を感じずにはいられなかったのでした。
下の図をよく見てください。高さ12mの、隣の住居に一日中日影を作る機械式立体駐車場が、工作物とされた瞬間から何の規制も受けずに建築されることが、果たして正義といえるでしょうか。
「(人として)正しいことをする、当然のことをする」という意味の言葉です。欧米の政治家が非常に好んで使うフレーズで、「理屈や損得ではなく、まっとうなことをする、まともじゃないことはしない」という意味で使われます。
川崎市の役人に、この言葉を贈りたいと思います。そして欧米の政治家のように、己の信念に恥じない、人として正しい判断を下す事を望みたいと思います。
どんな立派な法律も、結局は人がそれをどう扱うかなのです。