木
09
2月
2012
それでは、意図的盛土について、「(仮称)デュークガーデン溝の口」をケーススタディとして、説明していきます。
まずは、意図的盛土とは何か?というところから始めていきましょう。
宅地開発では、地盤面の整備や敷地の拡充のために盛土を行うことがあります。盛土を施すことで、斜面地部分を平坦に均し建物を建てやすくするのですが、この行為自体は特に問題ではありません。ところが、斜面地開発では地盤の整地だけではなく、盛土を施す事で地盤面のかさ上げを図り、建物全体の階数を底上げする盛土が往々にして行われます。これを「意図的盛土」というのですが、悪質なのは敷地の一部分に盛土をするだけで、敷地全体に盛土をした事にして地盤面のかさ上げを図る行為が、普通に行われているという事です。「(仮称)デュークガーデン溝の口」(以下DGM)計画はその典型的な例だと言えます。
これはDGMの平面図ですが、海抜44m〜海抜23m、高低差21mの斜面地にマンションを計画しています。
A棟は、海抜29m〜25mの敷地となっているのが見て取れますが、斜面地では高低差が生じるため、高低差3m毎に平均地盤というものを算出します。次の図がその平均地盤を算出するために作成された「平均地盤算定図」と呼ばれるもので、建物の敷地を高低差3m毎に5つの領域に分け、それぞれに平均地盤を算出しています。
もうお判りだと思いますが、A棟の建設予定地はE領域となっており、その地盤面の高さは海抜29m〜32m、平均地盤が30.066m。これは明らかに変ですよね。普通に考えればEの領域は海抜29m〜26m、26m〜23mの2つに分かれるはずが、そうはなっておらず、最大で5mかさ上げされた地盤面となっています。
なぜこのような事が可能なのでしょうか?
答えは上の図の赤い網掛けの部分にあります。
赤の網掛け部分(約50㎡)に約5mの盛土をして、海抜29m〜32mの高さにします。そうすると、図面下の青い点線部分は元々海抜29mの高さなので、そこと盛土部分を結んだラインが、地盤面と見なされ、E領域全体が29m〜32mの地盤に変身します。さらに、A棟の建物部分は、盛土をしてもまた掘り返して建物を建てることになるので、最初から盛土はしなくても良いらしいのです。これを「建築制限解除」というのですが、この「建築制限解除」を申請することで、敷地約800㎡部分が実際には盛土をしなくても、計画図面上では盛土をしたとみなされ、地盤が29m〜32mの高さに整地された事になります。つまり全体の敷地約850㎡のうち、わずか50㎡に盛土するだけで、850㎡が盛土されたことになります。
なんと不可解で、理不尽なことでしょう。
川崎市の開発審査課によれば、これは合法であり、明確な違反がない限り認めざるを得ないのだそうです。これにはさすがにあいた口が塞がりませんでした。本当に呆れました。市の担当者は思考することを止めているとしか思えませんでした。実際は建物部分は最大で6mほど掘られるのに、書類上は1〜5m盛土されたことになり、その結果地下3階、地上4階、高さ21mの建物が建つ事になるんです。
これが意図的盛土の正体で、業者は自分たちが建てたい建物にあわせて自由に地盤を変えることが可能なわけです。
これはどう考えてもおかしなことで、しかもお隣の横浜市では認められない行為でもあります。それなのになぜ川崎市では認可されるのでしょうか。
次回以降、この事について考えてみたいと思います。
こんな酷い計画を認めざるを得ないなんて、川崎市はどうかしてますね。横浜で認められないのであれば、川崎市でも同じ処置がとれると思うんですが。
管理人です。コメントありがとうございます。
川崎はますます「地下室マンションの吹き溜まり」の様相を呈しています。早期の条例改正を祈るばかりです。
